醉卧鸣沙月泉侧,千沙万泉无颜色
ラクダに乗る前に、砂丘に登れるかなとラクダと並ぶように歩いていると、前方に自分と同じように歩いて登る女性が。
話しかけてみると
「友達はみんなラクダに乗って行ったわ!」
「弱い奴らよ!」
「私はとても力が強い!」と非常に興奮した調子。
結構歩いたのだが、まだまだ先は長く、これは無理だと思い引き返すことにした。
そのことを彼女に伝えると、無謀な挑戦をする仲間を失った悲しみを見せ、それでも上を目指して歩いていった。
……しばらく降りていると、スタッフが下の方から拡声器で注意を呼びかける声がする。
振り返ると、先程の女性が通行禁止のロープをまたいでショートカットでのしのし丘に登りまくっていた。
中国の女性は実に、実にエネルギーに溢れている。
※ここの砂は鳴砂なので汚染されないように保護してある区画が大半です。くれぐれもロープをまたがないようにしてください。
おとなしくラクダに乗る。5人ほどのパーティーが集まると順番に出発となる。メンバーの一人がラクダに向かって「注意安全!」なんていってた。
途中ラクダ飼育員が、カメラを貸してくれれば別料金だけど写真を撮ってあげるよ、と言ってきた。
メンバー全員いらないと言う。
なんで?なんで自分のスマホ渡して写真撮ってもらうのにお金払うの?
阿漕だわ。ケチくせーわ! と全員思ったのでした。
後から中国人にこのことを言った際こんな話を聞きました。
ラクダはオーナーから借りているもので、ラクダの世話やツアーでの儲けはほぼない、ラクダを牽引している人は本当に給料が少ないので写真撮影するときの数十元は貴重なのです。
という話を聞いて、ああ、お金を出して撮影してもらえばよかったな。と思いました。
資産家から借り受けてるラクダ賃を返すため、来る日も来る日も照りつける太陽、乾いた砂漠の上で毎日ラクダを連れてグルグルと回る仕事。
頼みの綱は客のカメラで撮影をすること。だが依頼してくれる人はたまにしかいないだろうな。
ラクダはグルリと一周すると終わり。最初に歩いたからわかる。
そう、ラクダは楽だ。
然り!
ラクダは楽だ!!!!
ラクダエリアとは別に、人力で登る場所もあります。
縄梯子があり、簡単に登れるようにもなっています。
砂漠から帰って、お昼に椒麻鸡を残しておいてくれと頼んだレストランに行く。
「もう捨てちゃったわよ!」と笑顔でいわれた。
代わりに回鍋肉を注文する。
店の前の道路の先にある砂丘を眺め、ゆっくりと食事をする。
日が暮れていく。
たくさんのレストランが大通りに沿って連なっているが、日が傾きはじめた今、客は自分だけしかいない。
みな中心部の宿をとっているのと、観光地料金なのですべてが高いから、わざわざ鳴砂山が閉まった夜にここに残って食事をする人は少ないのだろう。
鳴沙山付近に宿をとってしまった自分には繁華街に行くにはタクシー代の往復がかかってしまう……。宿を取る場所を少し失敗したかな。
しかしこの景色を、人混みや車が巻き上げるホコリのない中程よく酔いながら居られることは、幸せなことだ。
スタッフと話す。
彼女たちは蘭州から出稼ぎに来ていて、この砂丘の前で毎日商売をしているが、実際门票を購入して観光したことはないそうだ。
絵葉書をあげたら、想像以上に喜んでくれて、サインを求められ、お礼よ!と言ってビールをもらったのだが、しばらく間をおいて、ビールまでの価値はないかなと冷静になったらしく、やっぱりこっちにして!とビールを奪いミネラルウォーターを渡された。明るくたくましく笑っていた。