明後日の寝台列車を取得するため、タクシーで吐鲁番北站に乗り付ける。何もここまで広大な敷地にすることはないのに……というほどでかい駅で2014年に開通したらしく、とてもきれいだ。
2段階の警察による検査を突破した後、チケット呉れ!と言ったら、ここでは発見することができない、当日吐鲁番站で取得してくれと言われた。
よく調べもせずネット経由で適当にチケットとったため、わからなかったのだけれど吐鲁番站と吐鲁番北站の距離はめちゃくちゃ離れている。砂漠の果てにあるのが吐魯番站だ。
でこのとき荷物検査でパスポートを受け取るのを忘れて二重チェックと写真撮影と個室に呼ばれて取り調べを受ける。忘れ物はあまりしないほうだが、何も世界的にみてとても厳重な警備が行われている場所でこんな重大なもの忘れるなんて……と凹む。
よくあれだけの検査で返してくれたもんだ。(そしてやはり北京警察と比べて警察官に笑顔がある)
夕日が徐々に染まっていく広い駅の庭で一人ポツリ。本当に人がいない。門前の警備員に、タクシーはどこで捕まえたらいいのか訪ねたら、案内してくれた上に手を上げて停めてくれた。
ドライバーはおばさん。エリザベスと名のるカザフ族だ。乗り込みホテルに行ってくれと告げる。途中はガソリンを入れるからちょっとまっておけと言われる。
メアリーがGASをFULLにしてBACKしてきたのでRIDE ONして走り始めたが、しばらくして何やら騒ぎ出した。騒ぎ出した後、車を停め勝手に降りていった。仕方がないので後をついていくと、何やら木々に手を伸ばし採取している。木苺をもりもりと食べ始めたのだ!!
なんで今食う!客を乗せているのに!!身振り手振りで、お前も食え!もっと食え!食わないと損だ!無料だ!と伝えてくるので、埃にまみれたその果実を恐る恐る食べてみた。果物の瑞瑞しさというよりも、干からびた大地と激しい太陽に依って作られた凝縮された甘さだ。
ベットリとした糖分のインパクト。エリザベスは手を汚しながらも、更にもりもりとたべ続ける。
食後の車内で、明日のツアーに誘われる。明日朝交渉するよりもいいかなと思ってOKとする。なぜかそのまま、一緒に飯食いに行こうぜ!というノリで行くことになる。
ドップリ暮れ舗装されていない道を走り、ついたところは羊の肉を叩き切って店の前で焼く実にシンプルな焼肉屋。絶対一人では来ないし、ツアーガイドがいても案内されないし、自分がここに導かれたのはご縁だ、と覚悟する。
茶は危ないから手を出さず、たかる蝿を片手で追い払い、片手で焼き上がった肉を掴み、食べる。……そんなに美味しくない!とても新鮮なはずなのに、素材の味しかしない!化学調味料に侵された舌には、野生の味しかしない。
気がつくと、BBAの友達だというウイグル族の人が参加し、肉を食べる会となる。
……そして自分が全部おごる。