荒井浜海水浴場其ノ二

前回までのあらすじ。
無休残業上等、年収三百行ってるんだか行ってないんだか、ブラック企業で全てを黒に塗ってやるぜと叫ぶロッケンローラーの我ら。

中学校から帰ってみるテレビの中では、マルドゥック機関に選ばれた同じ年の子供達が人造人型兵器に乗って精神を病んでいった、そういう世界系の世代。
今では加持さんと同じ年。

老人達の負債をかたづける世代だぜ。
とか思ってたら、リーマンショックとかいうのと津波と原発で、おい、まじどうなるんだこれからのアトムの子供達……、背負いきれねぇだろう。
以上あらすじでした。


漫画家、須藤真澄の短編集「観光王国」に納められている「いざや、波」という話が忘れられない。
海や魚をよくテーマにしてファンタジーを描く作家なのだけれど、この作品も海がテーマになっている。
誰も読まないだろうから、ネタバレ含む。

伊豆の漁村が舞台。
いつの日からか漁師の網には見たこともない深海魚が掛かるようになってきた。
その珍しい魚達は小さな水族館に運ばれ、ホルマリン漬けにされ、学術的な資料として、観光客向けの展示品として並べられ、日々数を増やしていった。
その施設の常連である、少女ナミは、海底から来る生物を通して兄を思った。
つい最近、兄の凪(ナギ)は海難事故で亡くなってしまったのだ。

水族館に展示されている沢山のヒレを持つ魚、ヒトデ、マリンスノー。
海を飛ぶ生き物、うごめく星、深海へと降り注ぐ雪は、海底で安らかに眠っているであろう兄の世界にリアリティを持たせ、彼の世界との繋がり思わせた。

ある日海の埋め立てが決まり、海水は汚れ、深海魚も姿を見せなくなった。
油の膜の結界を越えて、少女は靴だけを残して大好きな兄の元へ消えていった。

イザヤ ナミ
イザヤ ナギ
鳥飛べる
海の底にて
手をつなげ

いざや、ナミ
いざや、ナギ
されど
絶えて結界引く者の
無かりせばー

という具合のお話。いつも暖かなファンタジーを描く著者にしては、どうにも悲しいお話です。
目一杯深くまで潜って、浮上する最中というのは、酸欠で意識が混濁しつつあるのだけれど、海中から空を見上げると沢山の光のスジが射していたり、太陽が柔らかに形を変えていたりする。
そういうときにナギやナミの見る空はこんなのかな、だなんて思い出します。以下アフィリエイト。


絶版じゃないか。

荒井浜でポニョポニョ二時間程度泳いでいたら、海水はみるみる緑色になっていき、深く潜るとどっちが空なのか迷うくらいでした。

魚もちっとも見えなくなってしまったので、どうしようかな、早めに帰ろうか、刺身喰ってさ。明日から会社か、あっしまった、会社のことを言ってしまった。はぁ。よそうぜ会社の話は。禁句だぜ。まぁなぁ。もう公務員になれないかな。うーん、わからんね、無理かもね。転職しかないか。それか某教団か某政党を支持しつつ生活保護だな。生活保護か、年金よりも失業保険よりも沢山もらえる生活保護か。実際もらうとどんな気分なんだろうな。働きもせず飯を食い、みんなの負担になってるっていうプレッシャーで、外で歩けなくなるかもな。などと専門卒同士の熱いトークを展開していたら、ジョリーグッドなプレイスを発見しました。

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鉄骨のみが残ったいかした感じの桟橋である

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赤茶けた鉄骨が潮風と海水に打たれ、静かに崩壊へと向っている船着き場があった。
この鉄骨を縫うように、最中は群れをなして泳いでいたのだった。
でも海水の緑はグイグイ濃くなってゆく。
きっと別の日なら楽しめたんだろうにな。

鉄骨に張り付いたフジツボみたいなギザギザで切り傷を作ったり、魚たちの群れをなぞるようにして泳ぎ息が続かなくなって急浮上しようとして、やはり鉄骨に頭をぶつけたりした。
死ぬかもしれなかったけど、まぁ、死んだら仕方がない。

IMG_0649IMG_0650ああああIMG_0681IMG_0683IMG_0685IMG_0686IMG_0690

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大ハッスルしてお魚さんを追い回したけれど、濁りがどうにもならなくなってきたし、桟橋の上で休憩をすることにした。

鉄骨にまたがり、海面を眺めていると、ギラギラとした光を放ちながら、多数の魚影が幾回も我々の目の前を横切っているではないか!!
これは捕るしかない。
けれども網も仕掛けもない中、どうしたら魚を捕獲できるのかと検討を重ねた所、「大昔の人はこういうふうにして魚をとったに違いない」と、海へとダイブする事にした。
でかいナリした男が海面に向かって思い切り身を投げ、強い衝撃を発生させることにより小魚は気絶し、我々はしらすだかイワシの踊り食いを堪能できるはずだ!30歳の頭脳。

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海面きらめく小魚の群れに向かって。
ばちゃーん!ばちゃーん!
お腹の出てきた三十路男が宙を舞う。
何度も、何度も宙を舞う。
衝撃を強める為に、犀のように自らを海面に叩きつけているから、とても痛い。
だけれど痛みを乗り越えた先に、この伝統漁法が復活するに違いないと思った。

群れの中心に飛び込む度に「絶対とれた!今度こそ絶対とれた!」
と周囲をぐるりと見渡すのだが、魚は浮かぶ事はなかったのであった。

もう、海も緑で、飛び込みで体中痛いしだるいし疲れちゃったので、寝ることにした。
寝てたら二十代始めと思われるスノーケリングカップルがやってきて、桟橋に昇ってきた。

自分はこの日タッパーのインナーを使用しておらず、如実にパンツラインがフリーダムだったのだ。
桟橋を這い上がった若い男女の面前に、突如として現れた、男の稜線である。
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なんだか姿勢を変えるのもわざとらしくて、頬を赤らめながら身動きがとれずに体を硬くしていたのだが、人見知りのない質の連れが話しかけて、なんとなーく会話のやり取りをするうちに、四人で飛び込もうぜ、という話になっていった。

(もうさんざん飛び込んだのに……)

まずは女の子が逡巡しつつも彼氏に促されて飛び込み、続いて男の子が飛び込んだ。
まるで飛び込みの映像を見るように手首で海面を割るように、スパッとダイブした。

「なんて素敵な飛び込みなんだ」
と思ったので、自分も男の子の真似して飛び込んだんだが、海面から顔を出した自分の耳に、全員の嘲笑が飛び込んできた。
自分の中ではキレイに飛び込みをキメたつもりだったのだが、「ルパン三世が不二子ちゃんのいるベッドに飛び込む時の恰好そっくりだった」と帰りの車で友人が述懐していた。

水も暗くなってきて、笑われたことに心に傷を負って、なんか、そういう、ぐだぐだな感じで帰ることにしました。
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帰りに刺し身食うた。
タカノハダイ・シイラ・コチ・まぐろ・カツオ。珍しい魚多いなぁ。
初めて食べるよ。
これが素晴らしく美味しかったので、二人して、ニヤニヤしつつ、「あんまり海のコンディションよくなかったけど、こんな旨い飯が食えてよかったね、うまいね、うれしいね、しあわせだね」と終わりよければすべてよし、という方向に持っていけると思ったのだが、刺身に対して御飯の量があまりにも少ないものだったので、女給さんにおかわりを要求した所、260円もするため、我々3流プロレタリアートは泣く泣くおかわりを諦め、刺身を水と共にモリモリ摂取することになり、一気にテンションが下がり、ご飯って、偉大だなって、おもったの、でした。
シイラは千葉では「シビトクライ」とよばれているそうです。

もっともっと海に行きたい。
日曜日行く予定だったけれど、ここに来て大雨の連続と気温の急激な低下。
おい。